場の変分はδϕr(x)≡ϕ′r(x)−ϕr(x)と定められる。 加えて,以下の座標変換を考える。 x′μ=xμ+εμνxν+aμ 次に,座標変換後の場ともともとの場の変分をδTϕr(x)とすると, δTϕr(x)=ϕ′r(x′)−ϕr(x)=ϕ′r(x′)−ϕr(x′)+ϕr(x′)−ϕr(x)=δϕr(x′)+∂μϕr(x)δxμ となる。ただし,無限小変換を考えている限り,δϕr(x′)=δϕr(x) となるので, δTϕr(x)=δϕr(x)+∂μϕr(x)δxμ が得られる。ここで,座標変換まで含んだ作用変分 δTS=∫d4x′L(ϕ′r(x′),∂′μϕ′r(x′))−∫d4xL(ϕr(x),∂μϕr(x)) を考える。積分変数を揃えるために第1項目を書き換える。 d4x′=∂(x′0,x′1,x′2,x′3)∂(x0,x1,x2,x3)d4x=|∂x′0/∂x0∂x′0/∂x1∂x′0/∂x2∂x′0/∂x3∂x′1/∂x0∂x′1/∂x1∂x′1/∂x2∂x′1/∂x3∂x′2/∂x0∂x′2/∂x1∂x′2/∂x2∂x′2/∂x3∂x′3/∂x0∂x′3/∂x1∂x′3/∂x2∂x′3/∂x3|d4x 無限小変換の場合 ∂(x′0,x′1,x′2,x′3)∂(x0,x1,x2,x3)=1+∂νδxν となるから, δTS=∫d4x[L(ϕ′(x),∂′μϕ′r(x′))(1+∂νδxν)−L(ϕr(x),∂μϕr(x))]=∫d4x[{L(ϕr(x),∂μϕr(x))+(∂L∂ϕr)δTϕr+(∂L∂(∂μϕr))δT∂μϕr}(1+∂νδxν)−L(ϕr(x),∂μϕr(x))]=∫d4x[{L(ϕr(x),∂μϕr(x))∂νδxν+{∂μ(∂L∂(∂μϕr))δTϕr+(∂L∂(∂μϕr))δT∂μϕr}] となる。ここで,作用積分Sが不変であれば (∂L∂ϕr)δTϕr(x)+(∂L∂(∂μϕr))δT∂μϕr(x)+L∂νδxν=0 となる。また, δϕr(x)=δTϕr(x)−∂μϕr(x)δxμ であり,変分δは微分と交換可能なことから δT∂μϕr(x)=δ∂μϕr(x)+∂μ∂νϕr(x)δxν=∂μδϕr(x)+∂μ∂νϕr(x)δxν=∂μ[δTϕr(x)−∂νϕr(x)δxν]+∂μ∂νϕr(x)δxν=∂μδTϕr(x)−∂μ∂νϕr(x)δxν−∂νϕr(x)∂μδxν+∂μ∂νϕr(x)δxν=∂μδTϕr(x)−∂νϕr(x)∂μδxν となることを用いると,作用変分は δTS=∫d4x[L∂νδxν+(∂L∂ϕr)δTϕr(x)+(∂L∂(∂μϕr)){∂μδTϕr(x)−∂νϕr(x)∂μδxν}]=∫d4x[L∂νδxν+∂μ(∂L∂(∂μϕr))δTϕr(x)+(∂L∂(∂μϕr))∂μδTϕr(x)−(∂L∂(∂μϕr))∂νϕr(x)∂μδxν]=∫d4x[∂μ{Lδxμ}−∂μLδxμ+∂μ{(∂L∂(∂μϕr))δTϕr(x)}−∂μ{(∂L∂(∂μϕr))∂νϕr(x)δxν}+∂μ{(∂L∂(∂μϕr))∂νϕr(x)}δxν]=∫d4x[∂μ{∂L∂(∂μϕr)δTϕr(x)−∂L∂(∂μϕr)∂νϕr(x)δxν+L(ϕr,∂νϕr)δxμ}+{∂L∂ϕr∂νϕr(x)+∂L∂(∂μϕr)∂μ∂νϕr(x)−∂μL}δxμ]=∫d4x[∂μ{∂L∂(∂μϕr)δTϕr(x)−(∂L∂(∂μϕr)∂νϕr(x)−gμνL)δxν}] が得られる。これにより,最終的に δTS=∫d4x∂μ[∂L∂(∂μϕr)δTϕr(x)−Tμνδxν] を得る。ここで, Tμν=∂L∂(∂μϕr)∂νϕr−gμνL はエネルギー運動量テンソルであり,保存則の式として ∂μ[∂L∂(∂μϕr)δTϕr(x)−Tμνδxν]=0 が得られ,場の理論におけるNoether カレントの保存則を表す。 \subsection{時間と空間の平行移動に対する保存量} 時間と空間の並進について考えると,x′μ=xμ+εμ であり,δTϕr=0となっているので,保存カレントはTμν となり,∂μTμν=0が成り立つ。これより,保存量は Pμ≡∫d3\bmxTμ0=d3\bmx{πr(x)∂νϕr(x)−Lgμ0} となる。 時間成分と空間成分をそれぞれ書くと, P0=∫d3\bmx{πr(x)˙ϕr(x)−L(ϕr,∂μϕ)}=∫d3\bmxH=HPj=∫d3\bmx{πr(x)∂jϕr(x)} となり,ハミルトニアンと運動量であることがわかる。 \subsection{ローレンツ変換に対する保存量} 無限小ローレンツ変換はεμν=−ενμを用いて δxμ=εμνxν,δTϕr(x)=12εμν(Sμν)rsϕs(x) Sμνはローレンツ変換の生成子の一つの表現で {スピン0(スカラー場)ならSμν=0スピン12(フェルミオン場)ならSμν=14[γμ,γν]スピン1(ベクトル場)ならSμν=Sμν=Lμν ベクトル場の場合, δxμ=εμνxν=12εαβ(Sαβ)μνxν より, εμνxν=εαβδαμδβνxν=12εαβ(Sαβ)μνxν また, εμνxν=12εβα(−Sαβ)μνxν より, εμνxν=−εβαδβαδανxν=12εβα(−Sαβ)μνxν よって, 12(Sαβ)μν=δαμδβν−12(Sαβ)μν=δβμδαν 以上より, (Sαβ)μν=δαμδβν−δβμδαν 保存則の式に代入すると, ∂L∂(∂μϕr)δTϕr(x)−Tμνδxν=∂L∂(∂μϕr)12ενλ(Sνλ)rsϕs−Tμνενλxλ=12ενλ∂L∂(∂μϕr)(Sνλ)rsϕs−12ενλTμνxλ+12ελνTμλxν=12ενλ[∂L∂(∂μϕr)(Sνλ)rsϕs−Tμνxλ+Tμλxν] これより,Noetherカレントは Mμνλ=∂L∂(∂μϕr)(Sνλ)rsϕs−Tμνxλ+Tμλxν となる。この保存則は∂μMμνλと書かれるので, 保存量は Mμν=∫d3\bmxM0μν=∫d3\bmx[∂L∂(∂0ϕr)(Sμν)rsϕs(x)−T0μxν+T0νxμ]=∫d3\bmx[πr(x)(Sμν)rsϕs(x)−T0μxν+T0νxμ] 特に,空間成分については Mij=∫d3\bmx[πr(x)(Sij)rsϕs(x)−pixj+pjxi]